CHEERZ for MEN Original Interview
様々な舞台で活躍する、井深克彦さんの俳優を目指したきっかけや転機。
これから目指す仕事とは。
インタビュー・文:西森路代 / 撮影:山田涼香
友達がジュノン・スーパーボーイ・コンテストに応募するからというので、僕も応募してみました。
――井深さんがこの世界に入ろうと思ったきっかけは何ですか?
井深幼い頃から興味はあったんです。ドラマ『家なき子』を見て安達祐実さんがかっこいいなと思ったり。新聞に出ている劇団の募集広告を見て、親に応募したいって言ってみたり。でも、実際に応募することはなかったんです。
――実際の芸能界入りのきっかけは?
井深教師になりたくて入った大学で、友達がジュノン・スーパーボーイ・コンテストに応募するからというので、僕も応募してみました。でも、一次審査が受かってから、最終面接の知らせがあるまで、応募していたことを忘れてるような状態だったんです。
――ジュノンのようなコンテストへの憧れはあったんですか?
井深実は、高校の卒業文集で、「○○高校のジュノンボーイです」って自己紹介に書いてたりして(笑)。そのときは冗談でもあったんですけど、後で同級生には「夢がかなったね」って言われました。高校時代は、目立ちたい一心で応援団をやったり、生徒会長になったりするタイプでしたね。
一年遅れて活動を始めたので、同期の活躍を見て焦ったりもしました。
――それで実際に芸能活動をしてみて印象に残った出来事はありますか?
井深大学を卒業して東京に来て初めてのお仕事が、ジュノンボーイ・フェスティバルだったんですよ。その時に、三浦翔平さんとか、山本裕典さんとか、小池徹平さんとか、そうそうたる先輩方がいらっしゃって。最初の仕事で、先輩方の姿を見てかなり勉強になりました。
――ジュノンの同期というのはどんな存在なんですか?
井深僕は学業を優先したため、一年遅れて活動を始めたので、同期の活躍を見て焦ったりもしましたけど、かなり年齢もバラバラで、秋元龍太朗と僕なんて10歳くらい違うので、弟みたいな感じでみんな仲良かったです。それに、僕と菅田(将暉)くんは賞はなかったんだけど、菅田くんもその後すごくがんばってるのを見たら、賞がなかったことも、一年のロスも関係ないのかなと勇気づけられました。
カミングアウトをすることが自分のやりたい方向とあっているのだろうと思いました。
――その後、芸能活動をして、憧れの人、恩人という存在はできましたか?
井深初舞台でご一緒した富田翔さんですね。僕の今のキャラクターを作ってくれたのは、翔さんだと思うので。僕、去年の夏にゲイであることをカミングアウトしたんですけど、デビュー当時は隠さないといけないと思ってたんですね。でも、翔さんは、最初に見抜いてくれて、「そこがよさだから隠さないほうがいいんじゃない?」って言ってくれたんです。愛情を持って人を見てくれてるし、人を否定することがないし、僕の居場所を作ってくれた恩師みたいな感じですね。翔さんがいなかったら、カミングアウトできてなかったと思います。
――発表するときに葛藤はありましたか?
井深そうですね・・・俳優の中にもしそういう人がいても、僕のようにわざわざ言わなくてもいいと思うんですよ。なぜなら、役者として演じる上で、セクシャリティが武器になるのか、足かせになるのかはわからないので。でも僕の場合は、美容が好きだったりとか、バラエティに出たいということもあって、新しいことにも挑戦できるかもしれないし、僕自身は自由人だし、ポジティブでいたいので、カミングアウトをすることが自分のやりたい方向とあっているのだろうと思いました。
――話は戻るんですが、学生時代は、どんな風に過ごしていましたか?
井深ずっと女の子といるほうが楽で、中学も高校も女の子と仲良かったんです。でも、男の子とも遊ぶので、真ん中に立っているような感じで、男女でいざこざがあったら仲裁をしたりもしてました。そういう意味では、自分はセクシャリティで苦労したことはなかったけど、つらい思いをしている人もいると思います。今年で30歳になるんですけど、今は自分のセクシャリティで非難されたりすることは、まったく気にならなくなってきて、それよりも、自分の人生を生きたいという気持ちが大きくなってきました。
30代は、いい歳のとり方をしたいし、いろんな経験をしていろんな役をやりたいですね。
――さきほど、30歳という言葉が出ましたが、30代をどのように過ごしたいですか?
井深20代は、2.5次元の舞台の人気もあったりして、いろいろなキャラクターを演じさせてもらったり、かわいい役をいただいたりしてたんですけど、やっぱり、次から次へと若い子が出てきますからね。お芝居もできて、顔の小ささがさすが平成生まれってくらい小さい子もいて(笑)。いつまでもカワイイ役に執着しててもダメだなとは感じます。もちろん、かわいい役をいただける間は、ありがたく演じたいですけど、30代は、いい歳のとり方をしたいし、いろんな経験をしていろんな役をやりたいですね。人間力を高めたいと思います。
――そのために何かやっていることはありますか?
井深最近はテレビを見るようになりました。楽しむためっていうのもあるけど、バラエティのコメントを見て、こんな返し方があるのかとか、お芝居でこんな表情があるのかとか、芸能生活7年目にして、そういう勉強の一環としても積極的にテレビを見るようになりました。
――さきほど30代について聞きましたが、そのもっと先については、何か考えることはありますか?
井深僕自身がマイノリティなので、誰かが落ち込んでるときに励みになったり、支えになったり、同じ立場の人に居場所やポジションを作るための手助けができる存在にはなりたいですね。僕自身も誰かから、そういう影響をもらってきたし、こうやって何かを発信する立場になったということは、それが自分の役目でもあるのかなと思います。