CHEERZ for MEN Original Interview

CHEERZ for MENオリジナルインタビュー企画
ファンからの応援で1位を獲得した上田堪大さんの俳優を目指したきっかけや転機。
これから目指す仕事とは。  
インタビュー・文:西森路代 / 撮影:稲垣謙一

芸能界の人ってかっこいいなという憧れ

――芸能界を目指したきっかけは何でしたか?

上田小中学校で野球をやってて、野球やってないときはテレビを見てるって感じだったんですけど、芸能界の人ってかっこいいなという憧れはありました。でも、実際にやろうとまでは思ってなかったんです。

――その気持ちが変わったのはいつですか?

上田大学のときですね。高校では野球をやめてしまったので、気持ちが解放されちゃって、何かになりたいとか、やりたいことがなくなってしまったんですよ。でも、テストではちゃっかり点数はとってるほうだったので、親から、大学に行って4年間で何をしたいのか見つけろって言われて。それで、大学でもバイトばかりしてたんですけど、従姉妹のお姉ちゃんが、とあるオーディションに書類を送ってくれて、審査に通ったことで、今まで憧れでしかなかった芸能界に対して「僕でもいけるんじゃないか」って思いはじめたんです。

――それから、芸能界に入るまでは、どんな経緯があったんですか?

上田オーディションには落ちたんですけど、そのあと、知り合いのいるモデル事務所に所属することになって。そこでは、ブライダルのモデルをやったりしてました。目立ちたがり屋なのに、恥ずかしがり屋なんで、それを克服しようと思っていました。大学4年になって、このまま就職するのは違うかもしれないと思うようになって、伝手をたどって、東京の事務所をいくつか受けて、大学を卒業したと同時期に、自分の直感に従って事務所に入りました。

――東京での生活はどうでしたか?

上田はじめは東京って冷たいなと思ったりしました。オーディションもぜんぜん受からなくて。2011年くらいから活動を始めたんですけど、今と違って舞台もぜんぜんなかったんですよ。初仕事は、広告の仕事でした。その後、2013年に舞台に初出演するんですが、そのころが生活的にはどん底でしたね。ひと箱に何本か入ってるアイスを買ってきて、それで一週間しのいだりしていました。

歌うのは好きだけど、ミュージカルで歌うのはこんなに難しいのかと

――舞台を初めて、ターニングポイントはありましたか?

上田ミュージカル「Count Down My Life」ですね。歌うのは好きだけど、ミュージカルで歌うのはこんなに難しいのかと。はじめの一週間くらいは稽古が終わると朝まで歌を復習してやっと覚えられるような状態でした。でも、今、またその舞台をやるって言われたら、すぐにでも立てるんじゃないかってくらいセリフが入ってます。それくらい没頭しました。

――思い出深い舞台というのはありますか?

上田去年初めて「金色のコルダBlue♪Sky First Stage」という2.5次元の舞台に出演したんですよ。その舞台で、親友の谷佳樹と初めて共演したことですね。オーディションの組まで一緒で、普段から、セリフの読み合わせの練習なんかも一緒にやってたので、これは合格したかもと思いましたね。

――その谷さんとの出会いは何がきっかけだったんですか?

上田あるワークショップで出会ったのですが、お互いに印象は最悪で、そのときのメンバーで食事会に行くってときも、あいつがいるなら行かないってくらいだったんですよ。でも、あるとき、お互いに思ってることを言い合ったら、そこで本音を晒し合うことができて、上辺だけの奴とは違うなって。舞台を見に来ても、あいつは感じたことを全部言ってくれるんです。でも、喧嘩はめっちゃしますよ。下手したら地元の友達よりも喧嘩してるかも(笑)。でも、数日で仲直りできるんです。「金色のコルダ」で共演することが決まっても、ふたりで原作の乙女ゲームを男同士でやりあって、キャラについて研究しあったりしていました。

自分が解釈したキャラクターをちゃんと演じること

――2.5次元をやってみて、いかがでしたか?

上田他にも2.5次元で「ダイヤのA The LIVE III」に出演したんですけど、原作漫画でも、アニメでも描かれていないシーンが舞台にはあるわけです。例えば、ベンチに座っているシーンでどういう行動をするかは描かれていないので、そういうシーンで、自分が解釈したキャラクターをちゃんと演じること。キャラをちゃんと解釈して演じないと、作品やキャラに対して失礼だと思うし、僕にしかできないそのキャラを演じたいんです。もちろん、自分のエゴでキャラクターとは違う行動をしたりすることは違うなと思っていますし、作品のために生きていたいなと思います。

――「ダイヤのA」で、真田俊平を演じることになったときは、どんな気持ちでしたか?

上田2.5次元って見た目とか雰囲気が似ていることが重要視されることも多く、役を得るのは難しいなと思っていたんです。でも、真田俊平に関しては、この役だけは演じたいと思っていて、周囲にも勝手に言っていたんです。以前、働いていたバイト先の店長から「成し遂げたいことは、100人に言うことだ」って教えられたのもあって。100人に言ったかは覚えてませんが(笑)。それで、いざオーディションを受けたら受かったんです。やっぱり、やりたいことは言っておくもんだなと思いました。

――学生時代に野球をやっていたこともつながっていそうですね。

上田そうですね。ほんとに、こういった作品の現場ってめちゃめちゃ部活なんですよ。「ダイヤのA」でも、稽古のお休みの日には、野球場を予約してくれて、実際に野球の試合をしたりとか。雨で何度も中止になって、先日やっと実現したところなんです。でも、僕が今まで演じる役って、どの役も試合に負ける役なんで、それは本当に悔しかったりして、ストレートプレイの芝居とはまた違う感覚を味わってます。

――上田さんは負けず嫌いなんですか?

上田そうですね。でも、その感情はストレートに出すときもあれば、出さないときもあります。やっぱり、スポーツをやってきた経験から生まれるんですかね。俳優のみんなも、出すか出さないかの違いで、みんな負けず嫌いなところはあると思います。あと、人によく言われるのは、気を使う人らしいです。

――稽古場ではどんな感じで参加しているんですか?

上田作品やカンパニーによって、色って違うんですよ。例えば「ダイヤのA」だったら、野球部の話なんで男って色が強い。それに比べて「あんさんぶるスターズ! オン・ステージ」なんかは、みんなアイドルの役なんで、みんな「僕が僕が」って前にでる感じもある。だから、そのときは、僕が年齢的にも上だし、ちゃんとしないといけないなと思っていた気がします。逆に「金色のコルダ」のときは、自由にやらせてもらおうかなと。本当に作品やキャストによって、居方も違ってきますね。あと、座長のタイプによっても変わってきますね。頼りになる座長のときもあれば、まだ慣れていない座長のときは、支え合っていこうという空気になったり。本当に、演出家さんや座長によっても変わるんですよ。

――オーディションをきっとたくさん受けてると思いますが、以前と比べて、向き合い方は変わってきましたか?

上田オーディションまでの日をどう過ごすかというのは大事だと思いました。昔はセリフ覚えも遅かったんです。でも、たくさんの舞台の場数を踏んだら、演技がうまくなるという以前に、自分の考え方だったり、芝居との向き合い方、台本に対する読解力なんかが、以前よりは身についてきました。もちろん、すごくできているってわけではなくて、以前の自分に比べたらなんですが。でも、そういう部分での自信って大切だと思いますね。

いつまでたっても、芝居をしたい気持ちに変わりはない

――これから、30代を迎えるわけですが、今後はどのような俳優になりたいですか?

上田アイスだけで過ごした時期もあって苦労したから、仕事があることがうれしくて、今は、休みは掃除や洗濯ができる時間があったらいいや、くらいに思ってるんです。30代になると、またできる役が変わってくるかもしれないけど、先を見つつも、今いただいているお仕事を一つずつ大切にやっていくのが最優先かなと思います。でも、30代で変化があったときに、そのときに考えたのでは遅いので、手探りだけど、やりたいことをちょっとずつ明確にしていかないといけないなと思います。舞台だけじゃなくて、ほかの表現にも挑戦したいし、いつまでたっても、舞台には出ていきたいとも思います。どちらにしても、芝居をしたい気持ちには変わりがないので。

上田 堪大うえだ かんだい

1988年10月21日生まれ

<出演予定>
『あんさんぶるスターズ!オン・ステージ』~Take your marks!〜
◆2017年1月5日(木)~1月15日(日)AiiA 2.5 Theater Tokyo
◆2017年1月25日(水)~1月29日(日)梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
舞台公式HPはこちら

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