CHEERZ for MEN Original Interview

CHEERZ for MENオリジナルインタビュー企画
ファンからの応援で2位を獲得した八巻貴紀さんの俳優を目指したきっかけや転機。
これから目指す仕事とは。
インタビュー・文:西森路代 / 撮影:松田一輝

お芝居は最初は恥ずかしくて仕方なかったんです。

――芸能界に入ろうと思ったきっかけは何ですか?

八巻小さいころから野球をやってたんですけど、ケガでやめて。その後はずっと夢がない状態で、惰性で大学までいっていた感じでした。でも、ぎりぎり就職活動が始まるときに、大学に通いながらダブルスクールという形で芸能学校に行くようになって。最初は歌で試験を受けたんですけど、モデルのほうが伸びるかもということで、モデルコースに入り、そこで演技も習うようになりました。でも、お芝居は最初は恥ずかしくて仕方なかったんです。

――どんな風に恥ずかしかったんですか?

八巻初めて授業でやったのが、海の上で1人で船に乗っていて、突然目覚めてどうするかっていうお芝居だったんですけど、そんなのどうしたらいいんだって感じで、すごく恥ずかしがりながら演じてしまいました。また恥ずかしがって演技するから、余計に変な感じでしたね。赤面もしてしまうし。ほかの人たちは僕と違って経験者だったりするし、自分がへたくそなのも含めて、本当にいろんな意味で恥ずかしかったです。歌は大好きだったので、どんな状況で歌うのも恥ずかしくはなかったんですけど、そのうち、演技もそういうものなのかもしれないって思い始めて。

――お芝居の魅力に目覚めたのはどうしてですか?

八巻そんなことを三か月くらいやっていくうちに、楽しいなって思えるようになりました。学校の中での自主舞台なんかも経験して。それで、学校を卒業するときに、いろんな事務所の方がきている中でオーディションを受けて、今の事務所に所属することになりました。でも、今から2年くらい前は、こんな仕事をしてるなんて想像もしていませんでした。

野球でも、高校のときの部活のゴルフでも、今の俳優の道でも、好きなことは自由にやらせてくれました。

――小さい頃はどんな子でしたか?

八巻スポーツをしてたし、どっちかっていうと悪がきだったとは思うんですけど、両親からは、人さまに迷惑だけはかけるなって言われていて、僕自身も、遅刻とかするのも嫌いで、大学でも、単位制だから単位さえとれればいいやって感じになりがちですけど、一限の授業でもちゃんと出てました。両親は、野球でも、高校のときの部活のゴルフでも、今の俳優の道でも、好きなことは自由にやらせてくれました。でも、俳優をやりたいって言ったときはさすがに反対されるかなと思っていたら、それもなかったですね。

――じゃあ、あまり反抗したりとか困らせたりはなかったですか?

八巻それが、なぜか好き嫌いが多くて。みんなの好きなカレーとか果物が食べられなかったりで、嫌いなものは一切食べないんですよ。その面では困らせたかもしれません。カレーって、昔は好きだと思ってたのに、ある日おかわりができなくなっていて。それでよく考えたら、好きでもないのに、好きだって洗脳されてたんじゃないかって思うようになって、食べられなくなってしまいました(笑)。

一年間で11キロ体重を絞りましたね。その変化をオーディションでよかったねって言われたり。

――事務所に入ってからの、初仕事とはどんなものでしたか?

八巻舞台の仕事だと、ミュージカル「真夏の世の夢~LOVE」ですかね。初めてで緊張したし、しょっぱなからタップダンスもあったりして、ものすごい勉強になりました。

――オーディションもいっぱい受けているかと思いますが。

八巻僕の場合、自分でいけたと思ったものは落ちて、これはダメだったなと思うものに限って受かっていることが多いですね。ミュージカル『テニスの王子様』も落ちたなって思ったんですよ。みんな自分よりも樺地に似ているんじゃないかと思ったし、特技もすごくって。僕は、野球の藤川球児さんのモノマネとかしちゃって。でも、それで覚えてもらうことも多いです。

――オーディションを受ける中で、ここを直していったということはありますか?

八巻いろんなオーディション受ける中で、ふと体を絞ろうと思って一年間で11キロ体重を絞りましたね。ちょうど初舞台のころに、稽古終わって帰ったら走りこんだりして。その変化をオーディションでよかったねって言われたりはしました。

実際演じることになると、知らない設定もたくさん出てきて。そういうのを調べながら煮詰めていく作業も楽しかったです。

――テニミュに出演してみて、2.5次元舞台の役作りはどうしましたか?

八巻『テニスの王子様』は、ちょうど僕らの世代に読まれていた漫画だったので、親しみがあったんですね。しかも、僕が演じる樺地も印象的で覚えていて。だから、そういう面では助かりました。でも、実際演じることになると、知らない設定もたくさん出てきて。そういうのを調べながら煮詰めていく作業も楽しかったです。

――どんな資料があるんですか?

八巻単行本はもちろん読みますけど、キャラ設定の書いてあるファンブックも読み込みました。樺地なら、どうして跡部に就き従うようになったのか、そこに至るまでのことや、どこで跡部と出会ったのかとか。そういうものを、なかなか手に入らないけど、探して読んだりしています。でも、過去のテニミュのお芝居なんかは、僕の場合はあまり見ないほうで、自分の色を出そうと思うほうです。

――その資料を見て、新たに知った樺地の一面はありましたか?

八巻樺地は意外と裁縫が得意だったりするんですけど、本編には出てきてないんですけど、パッチワークが好きらしくって。実は僕も裁縫が得意なんですよ。それに、氷帝では資料を整理する係ですけど、自分もそういうのが得意なほうですし、あと、得意科目が数学で、苦手なのが現代文だったりするのも同じだし、身長や体重もほぼ一緒で、親近感がわきましたね。

――裁縫が得意って珍しいですね。

八巻体が大きいんで、洋服とかもないなら作っちゃおうと。お婆ちゃんとかに教えてもらったり、ミシンがけも、最初からけっこううまかったりして、それで調子にのって、なんとかシャツとかを作ったりしていました。

――テニミュの現場では、どんな風に過ごしていますか?

八巻自分的にはうるさく騒いだりもしてるんですけど、まとめ役みたいなものを求められることもあります。前の舞台でも、ママとかおかんって言われることが多くって(笑)。

――2016年はテニミュのほかに、3つの舞台に出られていますね。

八巻「ALICE~不思議の国の物語」は、以前に出演させて頂いた「真夏の夜の夢」と同じところの企画で、自分の成長を実感できた舞台になりました。「RANPO chronicle 蜃気楼奇譚」は、経験の豊富な先輩もいて、ひたすらこういう演技もあるんだと学んだ場所でした。東京二期会オペラ劇場「イル・トロヴァトーレ」は、助演なんですけど、二期会という、日本でも最大のオペラの団体の皆さんの稽古や発声方法を間近で見られてほんとうに貴重でした。このときは、僕は歌を歌うわけではなかったけど、父も学校の先生で、ブラスバンド部の顧問をやっていたりして、音楽が好きだったので。ここで発声練習などをさせてもらったことで、その後も声がよく出るように感じられたり、本当にすごい経験をしました。

――そして、今年後半はテニミュの仕事の真っ最中かと思いますが、出演してみて、どんなことを感じましたか?

八巻やっぱり、『テニスの王子様』の連載自体は2008年に終わっているのに、今もこうしてテニミュにたくさんのお客さんが来てくれるってすごいことですよね。それはファンの方を惹きつける努力があってこそだと思います。そういうことが積み重なって今があるんだろうなと思いました。

一つずつ、いただいた仕事を確実にやっていくということは一番に考えたいです。

――八巻さんは、デビューしてまだ二年ですが、これからはどんな仕事をしていきたいですか?

八巻やっぱり今後もミュージカルには出てみたいですね。今はこの仕事を始めたばかりで、将来の明確なビジョンを決めるのはこれからだと思いますけど、一つずつ、いただいた仕事を確実にやっていくということは一番に考えたいです。あと、やっぱり体調管理とか、身体については意識していきたいです。先輩たちも、長年続けられている方は身体に関して管理しているし。僕は、運動の面では動けるほうなんですけど、ダンスは普段動かさない部分を使ったりするので、そっちを頑張っていきたいですね。そうすれば、もっといろんなことに挑戦できると思いますし。それに、学校の初めてのお芝居で、自由に動いてって言われて戸惑ったように、今日の写真撮影でも、自然に動いてって言われると、まだ戸惑いがあるんですよ。だから、そういうところも柔軟にできるようになりたいですね。

八巻 貴紀やまき たかのり

1992年11月8日生まれ

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