CHEERZ for MEN Original Interview

CHEERZ for MENオリジナルインタビュー企画
様々な舞台で活躍する、谷口賢志さんの俳優を目指したきっかけや転機。
これから目指す仕事とは。
インタビュー・文:西森路代 / 撮影:岩澤高雄

自分の居場所はここじゃないって思いがあったんで、卒業したら早く自分で働こうと思ってました。

――デビューは1999年の『救急戦隊ゴーゴーファイブ』だそうですが、出演するきっかけは何だったんですか?

谷口芸能界の人はキラキラしてるなとは思ってたけど、自分がそうなるとは考えてなかったんです。うちの家は厳しくて子供の頃テレビも見れなかったし、漫画やゲームも買ってくれなかったし、学生の頃から、自分の居場所はここじゃないって思いがあったんで、卒業したら早く自分で働こうと思ってました。自分のお金でジャンプ買いたかったんですね(笑)。それで高校卒業してすぐに建築系の会社に就職したけど、ある日、自動釘打ち器で打った釘が自分の手に9センチほど入ってしまったのがきっかけなんです。

――きっかけが釘?

谷口釘が刺さって、すぐに病院行かせてもらえるかと思ったら、そのまま仕事させられたんです。それでその仕事を辞めて。僕らの高校の頃はストリートニュースって雑誌が流行っていて、実は僕も街角スナップから1ページに載るような高校生でした。それで、バイト情報誌に載ってたモデル事務所の募集をみて、自分でもいけるかと思って入ったら、なぜかジャミロクワイの恰好でビラ配ったりの仕事しかなくて(笑)。でも僕は何も知らないから、テレビで見てる俳優さんは、下積みでそういうことをしてると思ってたんですよ。その頃、平行して、めちゃめちゃオシャレな人が集まる青山のクラブでバーテンダーのバイトもしてたんですね。そこにくる人たちも俳優とか事務所に入ってる人ばっかりで、「谷口もちゃんとした事務所入れば雑誌とか出られるよ」って。それで名鑑を買って電話したのが今の事務所だったんです。

――それからずっと同じ事務所なんですね。

谷口そうなんです。当時はただのクソガキでしたね。でも、入った翌日には雑誌の撮影もあったし、その後すぐに『ゴーゴーファイブ』のオーディションにも受かって。決まったけど、なんか一年間もやだなと思ってたのが俳優の始まりでした。(笑)

死にもの狂いでやったことで、西田さんに「大した俳優になったな」って言われて。

――そんな谷口さんが俳優としてやっていこうと思ったのはいつだったんですか?

谷口基本的には叩き潰されては「やってやるよ」の繰り返し。戦隊が終わってもドラマの仕事はぜんぜんないし、オーディションには受からないし、だったら死ぬほど演技うまくなってやるぞこのやろって思って、小説読んだり、映画見たり、絵を描いたり、脚本書いたり。特に20代後半から30代に入るまでがきつくて。この人たちはなんで出てるんだろうって思うと、テレビが見れないんですよ。それで、殺人事件の新聞のスクラップをして、犯人のことを想像するとか、何をしたら映画に出られるのか、何をしたら舞台に出られるのか、そんなことでもがいてたんですけど、それを見てくれてた人がいて、作品に出らたときには、それを全部ぶつけていました。

――西田大輔さんとの出会いも大きいですか?

谷口初めて西田大輔さんの舞台に出たときは、ぼっこぼこにされましたね。そこから二度と使わないって言われて。でも、西田大輔演出の舞台「switch」で、プロデューサーが僕をキャスティングしてくれたんですね。そこで死にもの狂いでやったことで、西田さんに「大した俳優になったな」って言われて。その後『戦国BASARA』に出ることになるんですけど、それまで貯め込んでいたものが全部出せたし、周りの俳優も「やってやるぜ」って奴ばっかで最高でした。『BASARA』は卒業したけど、西田大輔さんの作り出す世界に携わっていくと思うし、お互い「お前がつまんない仕事するなら一緒にやんねーよ」って言い合ってるんです。

今はこの中で何ができるかっていう壊し方、作り方もすごく面白いんです。

――2.5次元というジャンルに対しては、どう思われてますか?

谷口自分が20代の前半くらいに『テニスの王子様』が始まったときは、「なんなんだ?」って思ってたんですけど、やっぱり演劇って「今」とつながってるものだと思うんですよ。いろんな演劇がある中で、今の日本で2.5次元って時代を象徴する外せないものになってると思うし面白いとおもいます。最初は、演技の面で、すでにキャラクターがかなりできあがった中から役作りをすることに違和感があったけど、今はこの中で何ができるかっていう壊し方、作り方もすごく面白いんです。こう言ったらおこがましいですけど、キャラクターと人間の間の0.5の部分をどうお客さんに楽しんでもらえるかを、真剣に考えないといけないなと思ってます。

――2.5次元というジャンルができて、何が変わったと思いますか?

谷口やっぱり、自分も含めて何もできなかった俳優たちに、演技をするチャンスを広げたのも2.5次元だと思います。鈴木拡樹なんて、ほんとにすごい俳優だと思うし、こういう人がこのジャンルから出てくるのが面白いじゃないですか。だって、殺陣から着物着方、たたみ方、全部違うんですよ。僕らが若いころは、テレビや映画に出ないと俳優として認められないっていう見方もあったけど、舞台の世界でやりたいって人がいることも面白いし、僕も『アマゾンズ』出てから、もう映像行くんでしょ?みたいに言われることも多いですけど、舞台には出続けたいと思うんです。

――谷口さんが学生時代には、自分の居場所はここじゃないって思っていたと言われてましたが、今はどうですか?

谷口かっこいいこと言えば、舞台の上とかカメラの前が居場所なのかなと思えるようになりましたね。それは、俺が、この人かっこいいなと思える先輩や後輩と一緒にいられるようになったからなんですよ。信頼できる仲間がこの十数年で増えてきて、そいつらと話す時間は幸せだなと思います。でも、仲良しこよし、みたいなのは苦手で。僕は寂しがり屋の一人好きなんで、オオカミみたいに、崖の上でワオーンって叫んでいたいけど、「誰か見てる?俺、いい声で叫んでるんだけど見て!」って、そういうところがガキの頃からあるんです(笑)。

髭も生えてきて、スーツ着て説得力の出る年代にまできたんだなと。

――谷口さんは、これから40代になるわけですが、どういう40代を迎えたいと思いますか?

谷口楽しみではあります。今こんなですけど、髭もぜんぜんなかったんですよ。もともと退廃的なものが好きで、さわやかな仕事の時に金髪にしたりと反抗ばっかしてたんです。それで20代後半仕事がなかったのかもしれないですけど(笑)。でも、そんなことしてたからか、髭も生えてきて、スーツ着て説得力の出る年代にまできたんだなと。『仮面ライダーアマゾンズ』なんてまさにそうで、ああいう役をやりたかったというものがどんぴしゃで来たから、その中で思いっきりやることができました。

――そのために何か準備していますか?

谷口今まで、演技のために何やるかっていうと、本を読むとか映画を見ることに向かっていて、身体を鍛えたことがなかったんです。でも、初めてジムに行くようになりました。でも、映画とか見てて、この役かっこいいなと思うのは、みんな40過ぎの役だったりするんですね。ロバート・デニーロだったり、アル・パチーノにしても。日本だったら、西島さんとかもかっこいいし、その年代にしかできないことをやっている。これから人生背負えるような役に出会うために、40代までのあと一年を、どう吸収して学ぶかってことを考えてます。この前、舞台『ホイッスル!』に出演させてもらい、若い後輩たちとの付き合いかたも考えたし、作品へのアプローチも考えたし。来る40代、いろんな先輩と共演するときにも、しっかり勝負できるように、今は準備している感じです。これからも新しいことをやると思うけど、20代後半のときみたいに、またちゃんと潰されて凹んで、なにくそって思いながらやっていきたいですね。

谷口 賢志たにぐち まさし

1977年11月5日生まれ

<出演予定>
舞台『ENDorphin』
◆2016年12月23日(金・祝)~12月29日(木)
全労済ホール/スペース・ゼロ
舞台公式HPはこちら

舞台『幸福な職場』
◆2017年1月26日(木) ~ 1月29日(日)
世田谷パブリックシアター
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舞台『真・三國無双』
◆2017年2月11日(土)~2月19日(日)
全労済ホール/スペース・ゼロ
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舞台『龍よ、狼と踊れ〜Dragon,Dance with Wolves〜』
◆2017年3月8日(水)〜3月20日(祝)
CBGKシブゲキ!!
舞台公式HPはこちら

ドラマ『仮面ライダーアマゾンズ』
Amazonプライム・ビデオにてseason1(全13話) 独占配信中
視聴はこちら
「season2」2017年春配信予定

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