CHEERZ for MEN Original Interview
様々な舞台で活躍する、渡辺和貴さんの俳優を目指したきっかけや転機。
これから目指す仕事とは。
インタビュー・文:西森路代 / 撮影:山田涼香
母親があるオーディションに応募しまして、そのことがきっかけでこの仕事に関わる事になりました。
――芸能の仕事に憧れたのはどんなきっかけでしたか?
渡辺子供の頃から人前にでる事は嫌いではなかったですけど、将来の夢としては、サッカー選手になりたかったんです。でも、サッカーに関しては高校でその道は難しいなと思っていたころに、母親があるオーディションに応募しまして、そのことがきっかけでこの仕事に関わる事になりました。
――それで、高校卒業と同時に上京したんですね。
渡辺はい、上京してすぐに運良くスカウトされてこの仕事をスタートする事ができました!でも、実は母親は自分で応募したのに、上京して芸能活動をするのは反対で(笑)、ちゃんと大学に行ってほしかったみたいなんです!だからこそ上京して本気でやる覚悟もできました。
舞台に出演する事が本当に光栄で楽しい事で生活の一部になりました。
――それからは、どんな生活でしたか?
渡辺その頃は、ドラマに出るのが俳優さんだと思ってました、でも舞台に出演させて頂き、お客さんから反応が直に伝わってくることがこんなに素晴らしい事なんだって!楽しいんだなって!わかってきて、それからは舞台に出演する事が本当に光栄で楽しい事で生活の一部になりました。もちろん、テレビのお仕事もやりたいですけど(笑)。
――初舞台が主演だったそうですが。
渡辺『GYOSIN軍 by ネーチャー』という作品だったんですが、何もわからなくて、いろんなことを教えてもらいました。でも、デビューしてから数年は一年に一度舞台があるかないかの時期が続いてました……。
――それが変わったのは何かきっかけがありましたか?
渡辺2010年に『舞台版 イナズマイレブン』に出演させてもらったのですが、それが転機と言えるかもしれません。この舞台の台本をもらったとき、セリフは味方チームのメンバーの名前を呼ぶ一言だけだったんです。でも、がむしゃらにやっていたら他にもセリフをいただけることになって。その後、この舞台の制作さんや、演出家さんから紹介してもらったりもして、ちょっとずつですが仕事が増えていったんです。
――『ミュージカル忍たま乱太郎』に出演されたことはいかがでしたか?
渡辺それもすごく自分にとって大きかったですね。それまでにもやっていたんですけど、殺陣や歌、ダンスを基礎から学ばせてもらいましたし、光栄にも座長もやらせてもらって。
舞台だと指の先まで見えるから、そこにも意味があるととらえられることもありますよね。
――初舞台も座長でしたけど、そのときとは違う気持ちでしたか?
渡辺『忍たま』って子役の方からベテランの方までたくさん出ていて、そんな中での座長だったので、僕ができることって頑張ることしかなかったですね。この舞台では、家族のような絆ができたと思います。
――ほかに、印象深い仕事というのは。
渡辺ほさかようさんの舞台に出て、台本に書かれている世界観をどう理解するかってことをすごく考えました。それに、本番でやってみて、改めてお客さんの反応から気づく部分もあったりして。映像だと、一部しか見えないけど、舞台だと指の先まで見えるから、そこにも意味があるととらえられることもありますよね。20代のときに「なんでも動かせばいいもんじゃない」って注意されたこともあります。
――現在はフリーランスでやられているということですが。
渡辺事務所に在籍させてもらったことは、いろいろ感謝しているんですけど、自分でやってみたいということもあってフリーでいろんな事に挑戦させて頂いております。でも、気持ち的には、所属していたときと変わりないですね。舞台っていざ稽古に入ると、もう自分次第のところも多いんですよね。自分でしっかりやらないとだめだし。
――ときどき舞台の稽古を見させていただきますが、ちゃんと稽古のために準備をしてっていう、すごい地道なことを一人一人がやられているんだなと実感します。
渡辺僕はどこの現場でも真面目すぎるって言われるんですけど、でも舞台はそういう部分があるからこそ向いているのかなとは思います。根がビビりなので恐怖心があるからこそ、人一番ちゃんとやろうと努力だけは負けない自信があります。やっぱりセリフがすごい量あったりすると、テンパることもあるんですけど、仕事ですから、もちろん何とかなるものですし。セリフ覚えることは第一歩ですし。でもそれを思うと、学生時代に戻って、これくらい集中してたら、もっと勉強できてたんじゃなかって思いますね(笑)。とにかく舞台って殺陣でもダンスでもごまかしがきかないんで、やるしかないんですよ。
――現在31歳ですが、今後はどのような活動をしていきたいですか?
渡辺昔、思い描いてた30歳とかってもっと大人だったし、もっと売れてるもんだと思ってたんですよ。今の自分って、ぜんぜん昔と変わってないし、きっと40歳になっても変わってないんだろうなと思うんですよ。でも、40歳になっても、仕事をこなすようなことはしたくないなと思います。
――役柄的にはどうですか?
渡辺陰の雰囲気のある役とか、敵役とかで、その人にしか出せない存在感のある役ができたらと思います。でも、仕事がない時代を知っているからこそ、今みたいに、毎日、お芝居をして暮らせているのはありがたいんです。この状態に満足することなく、ひとつひとつ全力でやっていきたいと思っています。
ひとつでも良い作品に出たいし、たくさんの人を楽しませたいです。
――渡辺さんは、自分にしかない自分の強みって何だと思いますか?
渡辺僕は、人より秀でた所があまり多くないので、人より頑張る、人より努力ができるということかなと思います。あと、技術も重要だけど、人間としてちゃんとしていたいし、現場を大切にしていきたと思いますね。どこが俳優としてのゴールかはわからないけど、ひとつでも良い作品に出たいし、たくさんの人を楽しませたいです。